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農地中間管理事業:評価等

平成30年度 農地中間管理事業に対する評価・意見等


令和元年6月4日



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項目評価・意見等
○ 貸借の実績について

○農地中間管理事業の平成30年度の実績は、借入面積が714ha(計画比143%)、貸付面積は744ha(計画比149%)で、計画目標を大きく上回っている。
 また、前年度に対比して、借入面積で106%、貸付面積で107%となっている。


○貸付実績を経営体別にみると集落営農法人が76%、個別農業経営体が24%で、本県では集落営農法人が農地の受け皿の主体となっている点が特徴である。
 県内の集落営農法人84 法人のうち52 法人で農地中間管理事業が活用されており、特に30 年度は、白石町における支所単位で組織された「ほくめい(284ha)」「南有明(175ha)」の大規模法人による機構事業の利用が実績増につながっている。


○佐賀県の平成31 年3 月末現在の担い手への農地集積率は、71.3%(全国56.2%)となっており、前年の69.4%から1.9%増となっている。
 市町別に集積率の分布をみると、80%以上が9 市町(45%)、70~80%未満が2 市町、60~70%未満が2 市町、50~60%未満が1市、50%未満が6 市町で、市町間の格差が大きい。
 特に集積率の低い市町は、中山間地域の条件不利地域や担い手不足等から集落営農組織が未組織な地域、更には果樹産地を有する地域が多い。


○平坦部では、ほぼ集落営農法人や個別経営体に80%以上の農地の集積がされているが、個別大規模農家での圃場分散や集落営農と個別農家の農地の混在など、農地集積の経営的メリツトを実現していくためには課題も残されている。
 また、集落営農法人が農地の受け皿になっているが、担い手の高齢化等から組織の継続が懸念されるケースもみられる。


○また、法人組織の実態を見ると多くが枝番管理方式となっており、プール計算に至っていないため、合理的な土地利用ができていないことが課題となっている。枝番とプール計算では、10a当たりのコストや収益配分に大きな差がある。
 プール方式による効率的な農業をしていく事が、経営の充実につながり、経営体の強化となるため、一歩ずつ法人経営自体の経営・組織運営の在り方を工夫していく必要がある。


○嬉野市のアグリ三新や江北町の取組は先進事例として大いに参考になる。
 アグリ三新では、法人組織の経営としてのステップアップを描き、低コストや省力化、新規品目の導入による所得拡大方策、その中での農地の団地化や耕作条件改善事業など機構事業の活用を活用するなど、目標と手段(機構事業による農地集積等)を明確にしながら着実な取組が進んでいる。
 また、農地の交換耕作に先駆的に取り組んだ江北町の取組も、平成19年に「個別担い手協議会」という話し合いの組織を自主的に組織したことからスタートしている。
 町全体の農地分散状況を全筆調査により地図化し、地域の農地利用の現状をお互いに確認し、意欲ある農業者の小グループがまず大規模農家間の交換耕作など、可能なところから一歩ずつ進める手法を採用し、その取り組みを全域に広げていく動きとなっている。
 これらの事例は、それぞれの地域の将来へ向けた「人・農地プラン」をいかに実質化していくかが大切であることを示している。


○中山間地域では、条件不利地が多いこと、担い手が不足し集落営農組織も未組織で受け手が見つからないこと、永年作物である樹園地等が多いことなど、平坦水田地帯とは異なる課題に直面している。


○地域の基幹品目が担い手の減少や高齢化等から面積が減少していく中で、いかに生産基盤を改善しながら産地体制を再整備し維持発展させていくことが求められているが、伊万里市南波多町、大川町における産地改革と機構事業を含めた将来の地域農業を展望したプランの策定と実行、また鹿島市の柑橘産地の再編や伊万里市における畜産の繁殖基盤の充実強化への取組など、中山間地域における攻めの展開が注目される。


○一方、多くの中山間地域でも平成30年度から「それぞれの中山間チャレンジプロジェクト」がスタートし、今後、重点指導地区での取り組みが期待されるが、画一的な取組を避け、話し合いを通して各地域での固有の課題を摘出し、関係者一丸となって課題解決に向けて頑張っていただきたい。
 中山間地域の活性化のため産業政策に加え地域政策を含め総合的な視点からの取組も求められている。昨年から始まった取組で、話合いが始まったばかりであり、集落での課題を今から話し合っていく状況。
 普及センターで重点地区を取決め、頑張っているが、成果を一歩ずつ積み上げる必要がある。


○ 推進方策について  
 (1)基本的な考え方について

○平成30 年度から評価委員に農業後継者の育成確保や地域農業を先導する農業経営者を新たに1 名加え5 名体制とし、現場の農業者の声を幅広く反映させる体制をとっている。


○平成30 年度から農業公社の駐在員をJA からつ、JA さが(鹿島)に配置している。
 集落問題等の課題の抽出や地域コミュニケーションが必要となっているため、地域駐在員の役割は大きく評価できる。


○新たに導入した農地管理支援システムの運用管理を行う職員を雇用するなど業務効率化のための推進体制の強化が図られている。


(2)事業の普及・啓発について

○農地中間管理事業は事業開始5 年目となり、事業に対する認知度は向上しているため、メディア活用による広報については、より効果が期待できるお盆の帰省時に新聞に掲載し、周知している。


○県内の農地中間管理事業活用事例集を作成・配布し、普及推進を図っている。


○担い手等が参加する各種研修会、大規模農家等との意見交換会等に積極的に参画することで、事業推進を図っている。


(3)市町等との連携について

○県農産課、農業公社役員が事業活用実績の低い市町・市町農業委員会8 ヶ所を訪問し、中間管理事業推進上の問題点や、地域の課題などについて意見交換を行っている。
 また、市町農業委員、最適化推進委員の研修会に参画し中間管理事業や農地の集積の取組について意見交換を行い、活用促進を図っている。


○公社では、利用権設定等促進事業や農地利用集積円滑化事業などで設定している農地を設定期間満了の更新時期に中間管理事業への切り替えを推進しており、更新を誘導するための事業PR チラシの作成・配布を円滑化団体(JA)へ働き掛けている。


(4)地域実態に即した推進について

○事業実績の約8 割を占める集落営農組織の法人化等の動きと連動した、重点的な推進をしている。


○交換分合(シャッフル)による集約化が進んでいる江北町の先進的な事例等をモデルとして、今後、県内に普及を図るため、推進方策等の検討を関係機関と連携し、取り組んでいる。


○地域の関係者が、JA 果樹部会や農業委員・最適化推進委員、関係機関との連携による話し合いをもとに樹園地の農地流動化計画書を策定し、担い手への段階的な農地集積を進めている。
 府招上、立川のような事例は、推進モデルとなるような事例。


(5)その他

○集落営農法人の構成員は、土地を守らなければいけないという強い使命感があるが、更に、次世代へ向けての話合いをしていく必要があり、生産性の高い組織を目指していくことが重要である。


○農地は個人財産だが、貸借時に登記や相続関係等多くの問題に直面する。
 農地の所有者が元気なうちに話合いをし、今後どうしていくかを早い段階で検討していくことも必要がある。


○集落営農組織が法人化したものの、枝番方式で経営しているところは、効率的な経営となっていない。
 熟度を高めていく為には、地域でもう1 回話合いをしていく必要がある。

 その中で、集落で守るべき農地を線引きし、農地の整理、交換をしていく必要がある。


〇新規就農者等担い手の育成確保のため、本県独自に中間保有機能を拡充したことは、今後、新規就農者や新規参入者等の農地ニーズに応えていくことに繋がり、大いに期待される。
 現在、地域によっては新規就農に向けて、ハウスの利用条件・同意内容などの調査が行われている。


○農地中間管理事業の推進に関する法律の施行5年後見直しや人・農地プランの実質化を踏まえ、この事を上手に活かして平坦地では集積から集約へ、中山間地では担い手づくりを通じた集積に取り組んでいくことが期待されることである。